23時からは緩話時間 

ハロヲタのための24のガヴォット第23番嬰ト短調

徒然草第23段

yurina00232008-06-30


衰へたる末の世とはいへど、猶九重の神さびたる有樣こそ、世づかずめでたきものなれ。
露臺、朝餉、何殿、何門などは、いみじとも聞ゆべし。
怪しの所にもありぬべき小蔀、小板敷、高遣戸なども、めでたくこそ聞ゆれ。
「陣に夜の設けせよ」といふこそいみじけれ。夜の御殿のをば、
「掻燈疾うよ」などいふ、まためでたし。
上卿の、陣にて事行へる樣は更なり、諸司の下人どもの、
したり顔になれたるもをかし。さばかり寒き終夜、此處彼處に睡り居たるこそをかしけれ。
「内侍所の御鈴の音は、めでたく優なるものなり」とぞ、徳大寺の太政大臣は仰せられける。


こんなに腐っちまった世の中だけど、宮中の華やかなこと華やかなこと。
露殿、朝餉、何とか殿、何とか門とか聞いただけでうっとりできる。
ちょっとした小窓だの縁だの引き戸ですら俺にとっては聖地並に神々しい。
宿舎で「夜回りの準備」なんてシチュエーションも燃える。
御殿の中は、煌々と油が灯ってるわけですよ。
で、宿舎の中で管理職が机に向かって仕事をしている。
その部下はえらそうに見回り。寒い夜はそこらへんで雑魚寝。マジアツいシーンだぜ。
賢所の鈴の音は、俺の心を奮わせるぜ」なんて徳大寺の太政大臣も言ってたよね。


戦争 飢饉などで世の中が荒れ果て 餓死者が出るようになっても権力者の宮殿だけは豪華
ってな現象は 洋の東西を問わず共通らしい。
江戸時代におきた有名な 天明の大飢饉 でも支配階級であった武士の餓死者はいない
(農民の餓死者は何十万人だか何百万人だか とにかく数え切れないらしい)

どのような政治体制になっても搾取するものと搾取されるものは必ず現れるわけで
現代のワーキングプアの問題とかも人類の歴史とともに続いてきたのだろう。

搾取しているのはもちろん政府や宗教団体で資本主義社会ではそれに大企業も加わる。
華やかな宮殿も何万何億の民の屍の上に築かれたものだ


兼好の書き方もいちおう褒め称えているけれど実は痛烈に皮肉ってるように思える